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2020年7月31日(金)

「気候関連財務情報開示に関するガイダンス2.0(TCFDガイダンス2.0)」を公表しました。

パリ協定の採択を契機に気候変動が投融資先の事業活動に与える影響を評価する動きが世界的に広まる中、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD; Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」は2017年6月に最終報告書(TCFD提言)を公表し、それを受けて経済産業省では2018年12月にその解説書として、「気候関連財務情報開示に関するガイダンス(TCFDガイダンス)」を公表しました。

TCFDガイダンスの公表後1年余りを経て、TCFDへの賛同は大幅に増加し、開示内容も充実しつつあります。中でも日本はTCFD賛同機関数で世界首位となったほか、2019年5月にTCFDコンソーシアムが発足し、企業と投資家等との議論による知見の蓄積の場となりました。コンソーシアムにおけるこれまでの議論を踏まえ、本日TCFDコンソーシアムは、経済産業省が作成した「TCFDガイダンス」を改訂し、「気候関連財務情報開示に関するガイダンス2.0(TCFDガイダンス2.0)」として公表しました。

概要

本ガイダンスは、企業がTCFD提言に沿った開示をより充実させることを目的としており、初版に対して①近年のTCFDに関する国内外の知見やデータを踏まえた解説の拡充、②業種別ガイダンスの追加(食品、銀行、生命保険、損害保険)、③日本企業を中心としたTCFD開示事例の拡充、を中心に改訂を行いました。

気候関連財務情報開示に関するガイダンス2.0(TCFDガイダンス2.0)の構成

TCFDガイダンス2.0の構成は下記のようになっております。

第1章(はじめに)
本ガイダンスの策定及び改訂に至った背景や趣旨、TCFD提言と本ガイダンスの関係等について説明を行っております。

第2章(TCFD提言に沿った開示に向けた解説)
企業や金融機関のTCFD提言への疑問点の解消を目的に、金融機関の意見や実際の開示事例、TCFD提言策定時の議論を基にした解説を記載しております。

第3章(業種別の開示推奨項目)
気候変動のリスク・機会は業種ごとに異なるため、非金融6業種(自動車、鉄鋼、化学、電機・電子、エネルギー、食品)及び金融3業種(銀行、生命保険、損害保険)について、望ましい戦略の示し方や、推奨する開示ポイント・視点を解説しております。

第4章(おわりに)
本ガイダンスの内容を踏まえた今後の情報開示の進め方や、ガイダンスの更なる拡充に向けた取組等について説明しております。

気候関連財務情報開示に関するガイダンス2.0(TCFDガイダンス2.0)の公表にあたって

TCFDガイダンス2.0に関して、TCFDコンソーシアムの「ナレッジパートナー」であるサステナビリティ会計基準審議会(SASB)のジャニーン・ギリアトCEOからは、以下のコメントを頂いております。


『SASBは、TCFDコンソーシアムのナレッジパートナーであることを大変光栄に受け止め、TCFD提言の賛同に対する日本企業と政府機関の素晴らしい取組に感銘を受けております。よりレジリエンスのある低炭素経済への世界的な移行が加速するにつれ、私たちの成果が、TCFDおよびTCFDコンソーシアムにより、投資家に気候関連のリスクを報告するための有用なツールとして参照されたことをうれしく思います。開示の改善は、企業、株主、そして世界全体で相互に利益をもたらす結果に向けた資本配分を確実とすることに役立つと信じています。』

また、持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)のピーター・バッカー プレジデント兼CEOからは、以下のコメントを頂いております。


『新型コロナウィルス(COVID-19)は、人類が直面する、相互に関連するすべてのシステミックリスクに対するレジリエンスを構築する必要性を高めました。そのようなリスクの中で最大のものの1つが気候変動です。経済、人々、そして地球のためのポジティブな変化を可能にし、推進するために、金融市場は気候関連のリスクについての強力で、比較可能かつ完全なデータを必要としています。企業によるTCFD提言の実施は、このニーズを満たすための重要な手段の1つであり、サステナブルな企業が便益を受けるような投資家の行動を支援し、低炭素経済への移行を推進するものです。』


さらに、TCFD開示の促進に向けて、国際的に様々な議論が現在行われている状況を踏まえ、TCFDコンソーシアムは、更なるTCFD開示の促進に向けたメッセージとして「よりdecision-usefulなTCFD開示の促進に向けて」を本日公表しました。(英語版はこちらからご覧いただけます。)

加えて、コンソーシアム会員のTCFD対応状況等を調査したアンケート結果も本日併せて発表しました。

関連資料

※ 「TCFDガイダンス2.0」に業種別ガイダンス(国際海運)を追加しました。(2022年3月31日)